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夢の森

この季節は風景に色がなくなって、森の中は雪の白と、黒々とした木の幹ばかり。

ため息をつくような新緑や、夏の空を映して青く染まった渓流や、紅葉の下に広がる色鮮やかなキノコたちのいた森とは思えないほどの変貌ぶりだ。
でもこの季節は僕ら木工野郎たちにとっては一番大事。晩秋から冬にかけて切り出された樹は水気が少なく、製材して乾燥すると上質な家具用材になる。


3年前、ある会議に呼ばれた。高山の森の広葉樹を活用しようという話し合い。

高山は戦後、豊富な森林資源を活用して洋家具の産地として躍進した。高度経済成長を通じて地元材が減少し域外、海外からの材を主に使うようになってきた。今では大手の家具メーカーで地元の材をつかっているところはわずかだ。
それから数十年、飛騨の森は復活して良材が育っている。森林組合の方の話によると、国内でもトップクラスの森林面積を保有するこの地域は、これから半永久的に持続可能な森林資源を手に入れたことになるという。

この話を聞いた時、僕の妄想は爆発したね。

高山に移住して20年近く、なんでずっとここにいるんだろう?と振り返ると森が僕を引き留めているんだ。
山菜や木の実やキノコを採り、川に潜り、雪の上の獣の足跡を追って森の中で過ごしてきたから、遠くから眺めるだけで、頭の中に森の中の情景が広がる。心の中に森の空気が流れる。

こんな気持ちを誰かに伝えたい!
森の木を材として活用するだけじゃなくて、森そのものを活かしたい!

たとえばエコツーリズム。
森探検やトレッキング、クライミング。あるいは、標高差が大きく多様な生態系を含んでいるので、学術研究のフィールドにもいいだろう。研究施設の誘致や宿泊施設も必要。
食事は?森には増えすぎたイノシシやシカがいる。放っておくと植生を食い荒らして森が傷んでいく。これをジビエとして提供する。野生のキノコもあるし、山菜、木の実なども。ハンティングもいいだろう。より深く生態系を理解してもらえる。

森は四季折々姿を変えるし成長していく。だから飽きることがない。高山の古い町並みもいいけれど、観光資源として飛騨の森こそ宝なんじゃないだろうか!
城下町なら、お城を中心に街の文化や産業が育つように、飛騨は森を中心に育つ街になったらいい。

森を楽しむ長期滞在型リゾート。その周囲には森で採れた食材や、在来伝統野菜を使った食事処。もちろんたくさんある酒蔵の地酒たちも魅力だ。
モノつくりの街ならではの手の込んだ工芸品のブティックが並ぶ通りは歩くだけでも楽しめるはず。
訪れた人の胸の中に、森の風が流れるような、森の匂いを思い出せるようなそんな経験ができる街。そんな妄想。

実はすでに高山の飲食業は地元食材を活かす方向で評価を上げて来ている。ハンティングに関しても2年前に野生獣を解体精肉するための専門施設ができているし、狩猟免許を取る若手も増えつつある。僕ら木工人たちも地元材を使っている。
これらを「飛騨の森」というキーワードでつなげて、包括的なイメージを産み出したい。「飛騨高山」という名前の背景に「飛騨の森」が広がって見えるようなブランドにしたい。



昨年末から、オークビレッジからの声掛けで「高山市産材の活用拡大」の話し合いが復活した。3年前の会議は1回だけで具体的な成果なく終わってしまったので、新たに仕切り直しだ。さて、今回はどこまで進めるか?
妄想は妄想で終わるのか?構想になれるのか!?わくわく!
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by daifunka_blog | 2016-02-06 11:39 | 飛騨暮らし